kjyk09

気ままに詩のようなものを書いています。

西の国 西の岬

 

 

人気のない国道を右に折れると草原がひろがっていて

草原のむこうに岬がつづいている 岬は

その国の玄関であり頬でありつづけたから

その堅いいぶかしげな表情のわりに

来る者をこばまない

 

岬に吹く風は 太古から流れてきたせいもあって

いろんな呻きや轟きが聴こえてくる

(洞窟の奥深く火の焚かれる音

城壁くぐる兵士の歓声

空の中のステルスの沈黙)

しかし風は

潮のにおいしかしない

風の運ぶ荷物は時代とともにうつろうが

風はいつだって海を通ってくるのだ

・・・そのなつかしいにおいに

胸の奥をくすぐられるような気がする

 

岬を引き返すと

小さな街がひろがっていて

かわいらしい露店や小路がどこまでもどこまでも

 つづいているかのように見えた

私の家は海の向うだった