kjyk09

気ままに詩のようなものを書いています。

西の国 西の岬

 

 

人気のない国道を右に折れると草原がひろがっていて

草原のむこうに岬がつづいている 岬は

その国の玄関であり頬でありつづけたから

その堅いいぶかしげな表情のわりに

来る者をこばまない

 

岬に吹く風は 太古から流れてきたせいもあって

いろんな呻きや轟きが聴こえてくる

(洞窟の奥深く火の焚かれる音

城壁くぐる兵士の歓声

空の中のステルスの沈黙)

しかし風は

潮のにおいしかしない

風の運ぶ荷物は時代とともにうつろうが

風はいつだって海を通ってくるのだ

・・・そのなつかしいにおいに

胸の奥をくすぐられるような気がする

 

岬を引き返すと

小さな街がひろがっていて

かわいらしい露店や小路がどこまでもどこまでも

 つづいているかのように見えた

私の家は海の向うだった

 

 

 

夢と闇

 

 

空はどこまで続いてるのだろうと考えていると

やがて黄昏になり 闇夜になった

そのびっしりの暗がりは 黄泉の草原のようで

からだのなかをも貫いている

 

空がどこまで続いているのか考えていると

わたしはわたしに帰って来た

そんなこともすでに知っていたような気がする

それを言葉にする前のやはりもっとも身近な暗がりに

 

夜になると

わたしたちは目もあやな鮮やかな夢をみる

朝になると

夢は光りにひっそりとまぎれる