木
私を超えたものに私はなりたい
という一行が思い浮かんだが
そんなものありゃしない何言ってるんだ
という地に足の着いた声がきこえる
私を超えたものがあるならば
それは私をつくったものだろうけど
ほんとうに私をつくったものがいる(又はある)のかは
疑わしい
壁のしじまを見つめていると
人の躰や海の波が立ちあらわれるかのようで
立ちあらわれたかと思うと
しじまはやはりしじまでしかない
人の心はなんて忙しないのか
空に鳥がさえずり雲の流れゆくまに
どこからどこへ
目は彷徨い そして逝くのか
私の限りない生れに
限りない過去 限りない行末に
私はそっと背すじをのばす
眠る前
どんなに心と体が疲れても明日の朝
私は目ざめることを祈る
それが生きる意志
生きたいという気持ちなのかもしれないけど
それがあるかぎり
私は祈る
私に祈る 宇宙に祈る